QP:flapper（キャラクター原案）描き下ろし特製スリーブ
秋谷有紀恵（キャラクターデザイン）描き下ろしインナージャケット

特典

SIDE STORY BOOK (28P)

久弥直樹 書き下ろしショートノベル ＆ QP:flapper 描き下ろしショートコミック を収録。

※クリックで開きます。

特装限定版Blu-ray 第2巻特典「SIDE STORY BOOK」掲載
久弥直樹 書き下ろしショートノベル『近くて遠くの場所で』

冒頭を特別公開！

　その少女にとって、天文台で迎える朝の訪れは、どれだけ数限りなく繰り返されていても、そのすべてが特別な瞬間だった。

　七年という歳月を遡ったある冬の日に、少女はひとりの女の子と出会った。

　少女と同じくらいの背丈の女の子は、自分のことを──乃々香と名乗った。

　乃々香にとって、天文台にいた少女の存在は予期していたものではなかった。

　最初は少女に戸惑いながらも言葉を交わすうちに、いつしか乃々香は笑顔を見せてくれるようになっていた。

　少女と乃々香は、まるで時間を惜しむように会話を続けた。

　空気は冷たく、言葉には白い息が混じる。

　白くて小さくて手のひらにのせるとすぐになくなってしまう、冷たいけど綺麗で不思議なものが空からたくさん落ちてきて、見渡す限りすべてを白く染めていたあの日。

　少女は、乃々香からそれが雪と呼ばれるものであることを教えてもらった。

　少女は、乃々香の口から奏でられる素敵な音が、歌というものであることを教えてもらった。

　ふたりで奏でる旋律は、少女にとって大切な思い出へと変わり、少女の心の中に雪のように降り積もっていった。

　それは暖かな雪。

　自分の中が満たされていくことを、少女は実感していた。

　だけど──。

　乃々香は少女の前からいなくなってしまった。

　朝になっても、その次の日の朝が来ても、乃々香は戻ってこなかった。

　雪が少しずつ消えて、天文台の周りが緑色に覆われて、緑が鮮やかな別の色へと変わって、再び空から雲のかけらのような雪が降り始めても、少女はひとりこの場所で待ち続けていた。

　数え切れないくらい、朝がやってくる。

　変わらない一日の始まり。

　何度も繰り返される、少女ひとりだけの時間。

　それでも、その少女にとって朝は特別なものだった。

　──待ってて！　すぐ戻るから！

　その言葉を、大切な友達を、心から信じている少女にとって、朝の訪れは必ずやってくる再会に、また少し近づいたということだから。

　そして、少女が信じたように、乃々香もまた、失ってはいけなかったものを自らの記憶の奥底から取り戻していた。

　小さな少女と、小さかった女の子は、七年という歳月を越えて、再会を果たす。

　小さかった女の子は、今もまだ小さなまま変わらない少女の名前を思いだす。

　少女は自分自身のことをこう呼んでいた。

　ノエル──と。

つづきは、Blu-ray第2巻特典「SIDE STORY BOOK」でお楽しみ下さい！

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DESIGN WORKS BOOK (8P)

設定ほか、新規インタビューを掲載。

イラストカード（2枚）

※提供バックイラストを使用

第3話・第4話オーディオコメンタリー

出演：第3話＜夏川椎菜、水瀬いのり、小松未可子＞、第4話＜豊崎愛生、佳村はるか＞